「古事記」(712年)の稗田阿礼が語り部として初出。

 

文字のない時代に、政治の決定を民衆に伝えることが語り部の役目だった。

暗記の天才が多く、語り部養成所も作られていた。

 

文字ができてからは、口伝の知識を生かして、歴史書や和歌集の編纂に携わる。語り部が日本文化の礎を築いたといっても過言ではないだろう。

 

その後、全国行脚して一人芝居をする語り部が現れる。

 

近世では、村の知識や知恵や歴史を伝える語り部が定着し、現代では戦争の語り部、ふるさとの語り部が有名である。

 

語り部は、文章を暗記しており、それを相手に語り伝えるのが基本である。

そこが、文章を読む朗読との違いである。

 

お客様と語り部の垣根のない空間に着目し、一人芝居の要素と独自性のある脚本を組み合わせた、劇団静かな世界でしか行っていないユニークな舞台は、日本古来の語り部を新しく再生復興し、次世代へと繋げていく活動である。

 

1300年以上続く伝統文化である語り部のプロは、私を含めて現在数人しかいないだろう。

 

日本一の語り部活動を誇る劇団静かな世界では、さらなる進化をとげて、多くの方に語り部の面白さ、重要性を伝えていく使命を果たしていく所存である。